法人への遺産相続について
遺産を法人へ相続させる場合
通常の遺産相続の場合、法定相続人である親族などが対象になります。
では、法人の場合はどういった違いがあるのでしょうか?
法人は法律上、相続権を持っていないため、遺産相続の際には、贈与という形をとる必要があります。
遺産の贈与
遺産を贈与するための手段としては、死因贈与契約や遺言書による遺贈が挙げられます。
死因贈与契約
死因贈与契約とは、贈与者と受贈者が結ぶ「契約」のことです。
契約の内容としては、「贈与者(財産を渡す側)の死亡を原因として、受贈者(財産を貰う側)に事前に取り決めた財産の贈与を行う」というものになります。
遺言書による遺贈
遺言書による遺贈とは、贈与者が遺言によって贈与先を決める行為のことです。
遺贈は、贈与者が自分の意思によって「一方的」に決める行為であるので、受贈者との間で取り決められる「死因贈与契約」とは大きな違いがあります。
また、遺贈では受贈者がその承認と放棄を選択できます。
法人への遺産相続
法人への贈与による遺産相続の場合、税金の仕組みが通常とは異なります。
一般的な法人が遺産を受け取った場合
法人は、同好会や町内会、PTAなどの「人格のない社団や財団」とは異なり、「個人」とみなされないため、相続税の対象にはなりません。
しかし、有限会社や株式会社などの法人には、「相続税」は課されませんが「法人税」が課税されるため注意が必要です。
持分の定めのない法人が遺産を受け取った場合
持分の定めのない法人の場合、基本的には収益事業にしか税金が課税されないため、遺産に対して税金はかかりません。
しかし、これを利用する形で相続しようとした場合、不当なものだと判断されれば相続税の課税対象になってしまうため注意が必要です。
持分の定めのない法人としては、以下が挙げられます。
- 学校法人
- 社会福祉法人
- 公益財団法人
- 公益社団法人
- 一般財団法人
- 一般社団法人
まとめ
- 遺産を法人へ相続させるには、「死因贈与契約」や「遺言書による遺贈」が必要
- 死因贈与契約は、贈与者と受贈者の間で取り決められる「契約」のこと
- 遺言書による遺贈は、贈与者が自分の意思によって贈与先を「一方的」に決める行為
- 法人には「相続税」は課されないが、「法人税」が課税されるため注意が必要
- 持分の定めのない法人を利用した不当な相続は、相続税の課税対象となる
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