未分割財産の相続について
未分割財産とは
未分割財産とは、相続税の申告期限までに分割が行われなかった財産のことです。
遺言がなく遺産分割協議での話し合いが必要な時、兄弟や相続人の間で争いが起きてしまった場合がこれに当たります。
未分割財産の特徴
財産が未分割の場合、各種特例を適用できないため、納税総額が上がってしまいます。
使うことが出来ない特例は以下の4つです。
- 納税猶予
- 物納
- 小規模宅地
- 配偶者軽減
ただし、「小規模宅地」と「配偶者軽減」については、「3年以内分割見込書」を提出することによって、分割後であれば修正申告等により税金を取り戻すことが出来ます。
未分割財産の納税について
通常、相続税の納税の際には、「小規模宅地」や「配偶者軽減」の特例によって減額することが可能です。
一方、未分割財産の場合は前述したように、これらの特例を使うことが出来ないため、結果的に相続税が増額されてしまうという違いがあります。
たとえ分割が決まった後に、払った税金が戻ってくるとしても、未分割である以上は増額分を含めて納税しなければなりません。
また、「遺産分割協議書」が無い場合、被相続人の預金から納税することが出来ないため、全て相続人負担となってしまいます。
ですので、しっかりと事前準備をして未分割にならないようにしておくことが大切です。
一部分割がある場合
一部分割がある場合には、「積上方式」か「穴埋方式」のどちらかを使って未分割の申告をします。
積上方式
積上方式では、未分割の財産に対してのみ法定相続を仮定した分割を行い、分割が決まっている財産をそこに積み上げていく方式です。
なので、相続人の間で分割済のものがどのように分けられたかは関係せず、未分割のものだけが1/2の割合でそれぞれの相続人に分けられます。
穴埋方式
穴埋方式では、未分割の財産と分割が決まっている財産を合わせた状態で、法定相続を仮定した分割を行う方式になります。
積上方式との違いは、未分割の財産が均等に分けられるのではなく、全体として均等になるように分割されるという点です。
一般的には、こちらの「穴埋方式」が多く採用されています。
まとめ
- 未分割財産とは、相続税の申告期限までに分割が行われなかった財産のこと
- 未分割財産では、特例が受けられないため納税総額が上がる
- 「3年以内分割見込書」の提出によって、分割後に認められる特例がある
- 一部分割がある場合、「積上方式」か「穴埋方式」での申告が必要
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