相続税の連帯納付義務の概要について
連帯納付義務とは
連帯納付義務とは、相続税について、各相続人が互いに連帯して納付しなければならないという相続税法の決まりです。
相続によって財産を取得した人はみな、連帯納付義務を負うことになります。
連帯納付義務の対象
相続税の連帯納付義務は、同一の被相続人から相続または遺贈により財産を取得した人が対象となります。さらに、その被相続人から生前贈与を受け、相続時精算課税制度を利用していた人も対象となります。
相続税は相続財産以上の額を納めることはありません。そのため税務署は、基本的には本来の納税義務者へと取り立てを行います。
ただし、財産を取得した後に失踪した場合や、納税を済ます前に散財してしまった場合などでは、他の相続人に連帯納付義務を負わされる可能性が高まります。
連帯納付義務を逃れるためには、相続を放棄するという方法があります。
相続開始日から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行うことで、相続を放棄することが可能です。被相続人からの相続の一切を放棄することで、連帯納付義務を負わされずに済みます。
連帯納付義務は、相続税の申告期限から5年間有効です。5年以内であればいつでも税務署から通知がくる可能性があります。
連帯納付義務で支払う金額
連帯納付義務で支払う金額には、限度額が設けられています。
連帯納付義務の限度額=相続した遺産額ー納付済みの相続税額
相続で得た財産を限度として、連帯納付義務が適用されます。
また、納付期限を過ぎた場合には、利子税および延滞税が加算されます。
利子税は、未納の相続税に対して遅れた日数分支払います。税率は年によって変わりますが、令和3年の場合、年率1.0%に設定されています。
さらに、納付基準日から2ヶ月を経過しても完納できない場合には、延滞税が適用されます。延滞税も利子税と同じく遅れた日数分支払いますが、税率が高く設定されています。令和3年の場合、年率8.8%となっています。
連帯納付義務の注意点
連帯納付義務は、現金での一括納付が原則です。相続税では延納や物納といった納付方法がありますが、連帯納付義務の場合には利用することができません。
連帯納付義務を負ったまま相続人が亡くなった場合、納付義務は家族に相続されますので注意が必要です。
まとめ
- 連帯納付義務とは、相続税について、各相続人が互いに連帯して納付しなければならないという相続税法の決まり
- 連帯納付義務を避けるには、相続の一括放棄
- 連帯納付義務の場合、納付は原則現金一括のみ
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