出張におけるGoToトラベル利用時の会計処理について

昨年7月から、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んでいる経済活動を活性化させるための施策としてGoToトラベルキャンペーンが開始されました。
条件を満たした宿泊には、宿泊代の35%の割引と15%分の地域共通クーポン券の配布が行われました。
GoToトラベルでは、11月以降出張などのビジネスでの利用に制限がかかりましたが、それまでの期間に出張等でGoToトラベルを利用された方もいらっしゃると思います。
今回は、GoToトラベルの会計処理について解説していきます。
会計処理のポイント
- 旅行代金の値引きではない
- 旅行業者の販売額は変わらない
- 旅行代金の総額が消費税の課税対象となる
上記の3点がGoToトラベルを利用した際の、会計処理における注意点です。
具体例で確認していきましょう。
会社の出張でGoToトラベル対象の旅行商品33,000円(税込)を購入したとします。
この場合、出張者は代金の65%にあたる21,450円(税込)を旅行業者に支払い、残りの11,550円(税込)をGoToトラベル事務局が旅行業者に支払います。また、旅行代金の15%にあたる4,000円のクーポンが付与されます。
上記のケースでは、会社が出張旅費等で計上する課税仕入額は33,000円(税込)です。
補助を受けた場合でも、旅行業者の販売する商品の対価の額は変わらず、旅行代金全額を費用として認識します。そのため、消費税の課税対象にもなります。
会計処理
上記の例の場合、会計処理は以下のようになります。
会社支払い分
旅行代金支払時
旅費交通費 30,000円 / 現金 33,000円
仮払消費税等 3,000円 /
GoToトラベル補助受取時
現金 11,550円 / 雑収入 11,550円(不課税)
従業員支払い分
従業員が立替を行っていた場合には、以下の2パターンで処理します。
GoToトラベル充当分を含める場合
旅費交通費 30,000円 / 現金 33,000円
仮払消費税等 3,000円 /
GoToトラベル充当分を含めない場合
旅費交通費 30,000円 / 現金 21,450円
仮払消費税 3,000円 / 雑収入 11,550円(不課税)
注意点
GoToトラベルでの旅行代金の充当は、値引きではなく国からの補助分が差し引かれているだけです。
ですので、出張旅費そのものが必要経費の範囲内であれば、精算した全額が非課税となります。補助分を含めて精算を行ったとしても、給与課税上の問題は生じません。
GoToトラベルに関わる会計処理は、通常の処理に比べて煩雑な部分も多いです。
不安がある場合には、税理士などに相談するようにしましょう。
まとめ
- GoToトラベルの出張における適用は、該当期間のみ
- 旅行代金全額が費用として認識される
- いくつかの処理方法があるため、注意が必要
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