個人事業主の勘定科目、「事業主貸」と「事業主借」について

令和2年度の確定申告の受付が始まり、多くの方が提出書類の準備などに取り掛かっているのではないかと思います。
確定申告を行う方のうち、大きい割合を占めるのが個人事業主です。
今回は、個人事業主の方がクラウド会計ソフトなどを用いて帳簿をつける際に、プライベートと事業のお金を分けるために使う勘定科目である「事業主貸」と「事業主借」について解説していきます。
事業主貸とは
事業主貸とは、事業主が経費として扱うことのできないプライベートの出費を事業用のお金で払った際に帳簿で使われる勘定科目です。
プライベートの出費を事業用のお金で支払った場合には、個人事業主が「事業用のお金を事業主に貸した」とみなすことができるため事業主貸で処理します。
法人の場合は、経営者への給与を人件費として扱えますが、個人事業の場合、事業主への報酬を経費とすることはできません。
そのため、事業用のお金とプライベートのお金を明確に分けて管理するために、事業主貸という勘定科目が用いられています。
事業主借とは
一方、事業主借とは、個人事業主が事業に必要な経費を個人のお金で支払った場合に使われる勘定科目です。個人のお金を事業資金に充当した場合にも事業主貸が用いられます。
事業用の必要経費を個人のお金で支払った場合には、「事業用のお金を事業主から借りた」とみなすことができるため事業主借で処理します。
事業主勘定を活用するメリット
法律上、個人事業主は事業用と生活用の口座を分ける必要はありません。
そのため、意識してお金の管理を行わないとプライベートでお金を使いすぎてしまい、資金繰りが厳しくなったり、税金を収めることが困難になるケースもないとは言い切れません。
事業主勘定を活用することで、事業用とプライベート用のお金を明確に分けることが可能となります。そうすることで、赤字になってしまったり、資金繰りが厳しくなってしまうリスクを排除することができます。
個人事業主の場合、法人のように個人に支払う報酬を経費とすることはできませんが、事業主貸の勘定科目を活用し、毎月一定額を個人に支払うようにしておくと、プライベートでお金を使いすぎるということを回避できるでしょう。
青色申告を行う場合には、事業主貸と事業主借を記載する欄が設けられています。
日頃からまめに会計処理を行っておくことをおすすめします。
まとめ
- 事業主借は、「事業用のお金を事業主に貸した」ときに使う勘定科目
- 事業主借は、「事業用のお金を事業主から借りた」ときに使う勘定科目
- 事業主勘定を活用して、お金の管理をしっかりと行う
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