損金不算入と「費用・経費」と「損金」の違いについて

損金不算入とは
損金不算入とは、法人税において、会計上は費用となるが税法上は損金にならない仕組みのことです。
費用・経費と損金
まずは、「費用・経費」と「損金」の定義を確認していきましょう。
「費用・経費」も「損金」も、どちらも会社の支出です。
これらの違いを理解するためには、企業会計と法人税法の違いを理解することが大切です。
会計の目的
企業の会計の目的は、会社の利害関係者に対して経営成績及び財政状態を報告することです。
企業会計原則などに則り、一般に公正と認められる方法によって計算されます。
法人税法の目的
法人税法の目的は、税法に則し、適切な税額を計算することです。
公平な課税や税収確保が法人税法の目的となります。
費用・経費と損金の違い
会計上では企業の利益を計算する際に、収益から費用を差し引いて求めます。
利益=収益−費用
一方、税務上は税金を徴収するための課税所得が重要となります。課税所得は、益金から損金を差し引いて求めます。
課税所得=益金−損金
「費用」も「損金」も企業にとってマイナス項目であることに変わりはありませんが、企業会計原則のルールなどに則っていれば全額認められる「費用」に対して、「損金」は内容によっては税務上で認められないものがあります。
公平に課税を行い、安定した税収を確保するために、法人税法上ではすべての費用が損金にはならないことになっています。
損金不算入となるもの
では、損金不算入とされる費用はどんなものなのでしょうか。
代表的なものは以下の3つです。
- 交際費など
- 役員給与
- 寄付金
それぞれ確認していきましょう。
交際費
交際費や接待費、贈答費などは原則として損金不算入とされています。
ですが、全額が損金不算入とされるわけではありません。
例えば、一人あたり5,000円までの飲食費は会議費として全額を損金に算入することができます。
一人あたりの金額が5,000円を超えてくると全額が交際費扱いとなり、会社の規模によって損金算入の額が異なってきます。
資本金1億円以上の会社では、接待交際費のうちの50%を損金として算入することができ、それを超えた分は損金不算入となります。
資本金が1億円以下の会社では、次の2つから有利になる方を選択することが可能です。
- 定額控除限度額の上限800万円までを損金算入
- 接待飲食費の総額50%を損金算入
役員給与
役員給与も原則として損金算入が認められていません。
ですが、以下の条件を満たすことで損金として算入が可能となります。
- 定期同額給与
- 事前確定届出給与
- 業績連動給与
月給やボーナスなどのような形で支払われる役員給与に関しては、毎月の支給額が同額であったり、事前に税務署に届け出を行い、その通りに支給する場合などは損金として算入できます。
寄付金
寄付金も、原則として損金算入できる金額に上限が決められており、その上限を超過した分に関しては損金不算入となります。
上限は企業の形態や寄付先によって異なります。
ただし、国や地方公共団体への寄付金は全額が損金算入されます。
まとめ
- 損金不算入とは、会計上は費用になるが税法上は費用にならない仕組み
- 「費用・経費」と「損金」は異なる部分がある
- 損金不算入となる費用に注意する
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