電子帳簿保存法の概要と2020年の改正内容について

電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、国税帳簿書類の電子データでの保存を認める法律です。「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」が正式名称です。
1998年に制定され、紙媒体の書類を電子化して保存することが認められるようになりました。その後、何度か改正され現在に至っています。
電子帳簿保存法の概要
電子帳簿保存法は、会計帳簿において保存すべき書類を電子データで保存することを認める制度です。
導入するためには、管轄の税務署長の事前承認が必要となります。
電子データで保存を行うと、管理の手間が省ける反面、対象データを改ざんすることが容易になってしまうというリスクがあります。
そこで、データが改ざんされていないことを証明するものとして、タイムスタンプという方法が取られてきました。
データにタイムスタンプが付与されると、それ以降は変更されていないデータであることが証明されます。
そして、2020年10月に改正された電子帳簿保存法では、このタイムスタンプに関する部分に変更が加えられました。
電子帳簿保存法のタイムスタンプ
2020年の改正前は、以下の2つの保存方法が認められていました。
- 発行者のタイムスタンプが付された電磁的記録を受領した場合、受領者側がデータの受領後、遅滞なくタイムスタンプを付与
- 改ざん防止等のための事務処理規定を作成し運用
これらの方法を取る必要がありました。
しかし、多くの企業にとってこの仕組を導入することは容易ではありません。
そこで、改正により、以下の保存方法も新たに認められることになりました。
- 受領者側が、データを自由に改変できないシステム・サービス等を利用
- 発行者側でタイムスタンプを付与
この2つの保存方法も新たに認められます。
2020年の改正により、必ずしも受領者側が受領時にタイムスタンプを付与する必要がなくなりました。
クラウドシステムなどのサービスは、「データを自由に改変できないシステム・サービス」に該当するため、改めてタイムスタンプを付与する必要がなく、手軽に電子帳簿保存法を利用できます。
2020年の改正により、電子帳簿保存法の導入が手軽に行えるようになり、ペーパーレス化や電子化がより促進されていくのではないでしょうか。
まとめ
- 電子帳簿保存法は、国税関係帳簿を電子データで保存することを認める法律
- 導入するには、事前に管轄税務署長の承認が必要
- 2020年の改正により、タイムスタンプの運用が楽になった
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