礼金の会計・税務上の処理と繰延資産の注意点について
礼金とは
礼金とは、不動産の賃貸契約時に賃借人が賃貸人に対してお礼として支払う金銭のことです。
その名の通り、部屋を貸してもらうことに対するお礼として包むお金という意味を持っています。
太平洋戦争の空襲により焼け野原となった東京で、住宅が不足している状況下に置いて住宅を貸してくれた大家さんにお礼の意味で渡したお金が始まりとされています。
礼金の処理
礼金は会計上、繰延資産として処理されます。
繰延資産とは、会社や個人事業主が支出する費用で、支出効果が1年以上あるものをいいます。
「資産を賃貸しまたは使用するために支出する権利金、立ち退き料その他の費用」は繰延資産として税法で定義されています。
ですので、大家さんに支払ったお金のうち、返還されないことが明らかな金銭は、繰延資産に該当します。
なお、会計上と税務上で繰延資産の分類・定義が異なりますので注意しましょう。
会計上の繰延資産
- 開業費
- 開発費
- 設立費
- 株式交付費
- 社債発行費
税務上の繰延資産
- 固定資産を利用するために支出したもの
- 一定の契約をするにあたり支出したもの
- 自己が便益を受けるための費用
- 資産を貸借するための権利金
- 役務提供の権利金など
繰延資産に該当すると、一時の損金とすることができず、税法で定められた償却期間にわたって規則的に償却を行う必要があります。ただし、20万円未満の少額な繰延資産に関しては、一時の損金として処理することが可能です。
20万円未満の場合は、支払い時に全額費用処理を行うことができ、勘定科目は地代家賃で処理します。
20万円以上の礼金で、税務上の繰延資産に該当した場合でも、会計上は長期前払費用として処理を行うのが一般的です。
長期前払費用の場合、貸借期間が5年未満で、契約の更新に際し権利金等の支払いを要することが明らかな時は、貸借期間が償却期間となります。それ以外の場合には、5年が償却期間です。
まとめ
- 礼金は、大家さんに対して支払うお礼の金銭
- 礼金は繰延資産として処理される
- 繰延資産は、会計上と税務上で意味が異なるので注意が必要
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