活用すると大きな節税に!事業承継税制の特徴と注意点について

事業承継税制とは
事業承継税制とは、先代の経営者から事業を承継された後継者が、一定条件を満たしている場合、贈与税や相続税の納付を猶予される仕組みです。
また、さらに条件を満たすと、猶予されていた税金が免除されるケースもあります。
事業承継税制は、会社の株式などを対象とした「法人版事業承継税制」と、個人事業主の事業用資産が対象となった「個人版事業承継税制」があります。今回は、法人版についてお伝えしていきます。
事業承継税制の概要
事業承継税制とは、先にも説明したように、条件を満たしている場合に本来支払うべきはずであった相続税や贈与税を猶予し、最終的には免除も可能となる制度です。
先代の経営者から事業を継承しただけの段階では、納めるべきであった税金は猶予されている状態です。その後、事業を継続し、さらに次の代の経営者へと事業を継続できた場合、納めるはずであった税金が免除となります。
ただし、事業承継税制の適用を受けるには様々な条件がありますので確認していきましょう。
先代経営者、後継者の条件
先代経営者と後継者には、それぞれ条件があります。
先代経営者の主な要件
- 会社の代表であった
- 贈与(または相続)の直前に筆頭株主であった
- 贈与(または相続)の直前に一族で議決権の50%超を持っていた
- (贈与の場合)代表ではない
後継者の主な要件
- 会社の代表者である
- 一族の中で筆頭株主である
- 一族で議決権の50%超を持っている
- (贈与の場合)20歳以上
- (贈与の場合)役員就任後3年経過
相続と贈与とで条件が変わってくる部分もありますが、代表的な要件は上記のものになります。
条件の中には、後からさかのぼって手を打つことのできないものもありますので、注意しておきましょう。
会社の条件
- 承継法上の中小企業である
- 非上場会社である
- 資産管理会社ではない
会社としては上記の条件を満たしている必要があります。1つ目の「承継法上の中小企業である」という条件に当てはまるかどうかは、中小企業庁の資料から確認できます。
上場企業や、風俗営業会社は対象外となっています。
制度開始後、5年間守らなければいけない条件がある
事業承継税制の適用を受けるためには、事前の申請が必要です。
まず、2018年4月から2023年3月31日までの間に、『特例承継計画』を策定し、管轄の都道府県知事に提出の上、確認を受けます。
確認を受けた後、2018年1月1日から2027年12月31日の間に計画に基づいた贈与を行っていきます。
この間に制度を開始したのち、5年間は以下の条件を守る必要があります。
- 後継者が会社の代表であり続ける
- 後継者が会社の株式を保有し続ける
- 雇用の8割を維持し続ける
これらの条件を満たせない場合、免除されていた税金に利子をつけて納めなければいけなくなりますので、注意しましょう。
ただし、雇用の条件に関しては、正当な理由がある場合においては打ち切りの理由とはならなくなりました。
上記のもの以外にも、5年の間満たしていなければいけない条件は複数あります。専門家でないと確認が難しい条件もあります。
事業承継税制の活用を考えている場合は、税理士などの専門家に相談すると良いでしょう。
まとめ
- 事業承継税制は、活用することで相続税や贈与税を猶予・免除できる
- 適用には様々な条件がある
- 制度適用後5年の間、守らなければいけない条件があり注意が必要
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