定款の記載事項について
定款とは
定款とは、会社の基本情報や規則が記載された、会社設立において最も重要な書類のひとつです。
定款に記載する事項は、法律によって定められており、記載漏れがあると受理されません。
「会社の憲法」とも呼ばれています。
定款の基本
定款には、会社の名前や事業内容、住所などの基本情報を記載します。さらに、会社の指針となるさまざまな規則を記載する必要があります。
定款の原本は、会社に1部、公証役場で受理されたものが1部保管されています。公証役場で認証されたものは、承認から20年間保管されます。
定款の内容
定款には、下記の内容を必ず記載しなければなりません。
- 事業の目的
- 商号
- 本社所在地
- 資本金額(出資財産額)
- 発起人の氏名と住所
事業の目的は、会社を設立するにあたり、具体的に会社で何を事業にするのかを記載します。取引の安定性を確保するために、事業目的を設定します。
商号は、会社名のことです。使用可能な文字には一定のルールがあるため、そのルール内で会社名を決めます。
本社所在地は、会社を登記する際の住所です。事業実態がない場所などを記載することは避けましょう。
資本金額は、会社設立の際にいくら出資したのか、総額を記載します。
発起人の氏名と住所には、会社を設立する上で必要となる発起人全員の氏名と住所を記載します。発起人とは、会社設立の際に資本金の出資や定款の作成など、会社設立の手続きを行う人です。
相対的記載事項
定款には、法的には記載しなくても問題ないものの、記載がないとその事項について効力が認められない、相対的記載事項というものが存在します。
- 変態設立事項(会社法28条)
- 設立時取締役及び取締役選任についての累積投票廃除(会社法89条、342条)
- 株主名簿管理人(会社法123条)
- 譲渡制限株式の指定買取人の指定を株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)以外の者の権限とする定め(会社法140条5項)
- 相続人等に対する売渡請求(会社法174条)
- 単元株式数(会社法188条1項)
- 株券発行(会社法214条)
- 株主総会、取締役会及び監査役会招集通知期間短縮(会社法299条1項、368条1項、376条2項、392条1項)
- 取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人及び委員会の設置(会社法326条2項)
- 取締役、会計参与、監査役、執行役及び会計監査人の責任免除(会社法426条)
- 社外取締役、会計参与、社外監査役及び会計監査人の責任限定契約(会社法427条)
- 取締役会設置会社における中間配当の定め(会社法454条5項)
上記が主な相対的記載事項です。
任意的記載事項
任意的記載事項とは、絶対的記載事項と相対的記載事項に該当せず、かつ違法性のない内容を記載する項目です。
相対的記載事項との違いは、定款以外の文章で明確にすることでも効力が認められる点です。
株主総会の開催規定、役員報酬に関する事項などが該当します。
まとめ
- 定款とは、会社の基本情報や規則が記載された、会社設立において最も重要な書類のひとつ
- 定款に記載しなければならない内容は、法律で定められている
- 記載することで効力を発揮する事項もある
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