源泉徴収の概要と注意点について
源泉徴収とは
日本では個人が自分の儲けを集計して、税金を自分自身で納める「申告納税方式」が採用されています。
しかし、この制度だけでは所得税の払い過ぎや申告漏れなどが発生する場合があります。また、税務署の手続きにも大変な時間がかかってしまいます。
そこで、迅速かつ適切に納税を行うために源泉徴収制度が設けられました。
源泉徴収では、給与や報酬を支払う人が、支払いをする際に関係する税金を差し引いて、個人に代わって国に納税します。
これにより、より確実に所得税を納めることが可能となりました。
源泉徴収の対象
源泉徴収は、すべての支払が対象となるわけではなく、適用される範囲が定められています。
支払い先が個人の場合には、
- 給与、賞与
- 原稿料
- デザイン料
- 講演料
- 弁護士、会計士、税理士などへの報酬
- プロスポーツ選手などへの報酬
- 芸能人などへの報酬
- 利子
- 配当
- 退職金
- 年金
などが源泉徴収の対象となります。
支払先が法人の場合は、
- 利子
- 配当
などが源泉徴収の対象となります。
源泉徴収の対象は法律で定められているので、実際に源泉徴収を行う際や支払いを行う際にはきちんと確認を行うようにしましょう。法律で源泉徴収が定められていない取引に関しては、源泉徴収をする必要はありません。
源泉徴収の税率
給与に対する源泉徴収額は、社会保険料などの控除を行った後の金額を源泉徴収税額表に当てはめることで算出が可能です。扶養者の数によって、源泉徴収額が異なってきます。
報酬の場合、源泉徴収額を求める計算はシンプルです。
報酬に対する源泉徴収額は、支払金額に源泉徴収の税率をかけることで算出できます。
支払金額が100万円以下の場合には10.21%、100万円を超える部分には20.42%が源泉徴収率となります。
注意点として、源泉徴収は原則、消費税も含めた金額に対して計算を行います。
ですが、請求書において報酬金額と消費税額が明確に区分されている場合には消費税抜きの報酬金額を源泉徴収の対象とすることが可能です。
消費税はなるべく区分して表示するとよいでしょう。
源泉徴収は、初めて手続きをする方だけでなく、長年会社経営を行っているようなベテランの方でも間違えてしまうことのある煩雑なものです。
わからないことがある場合には、積極的に税理士に相談するようにしましょう。
まとめ
- 申告納税方式の欠点を補うために源泉徴収制度がある
- 源泉徴収の適用範囲は法律で定められている
- 源泉徴収額は支払いの内容によって変動するため注意する
- #源泉徴収
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